遺言書の作成をご検討のお客様へ

遺言書って必要ですか?

遺言とは、この世を去ったあと、「どんな遺産を、誰にのこしたいか」を実現するために大切な手段です。遺言書がない場合は、民法で定められた相続人が、定められた割合で相続することになります。家族のかたちが多様化している今、遺産の考え方もさまざまです。

自分の死後、どんな遺産を、誰にのこしたいか。」一緒に考えてみませんか?

遺言書がないと…こんなデメリットが

  • 財産が見つからない

    どの銀行に口座があるのか?タンス預金はどの程度あるのか?株式はあるのか?etc…たとえ夫婦でも、意外と全部は把握しきれていないこともあると思います。 遺言書がない場合は、これらの財産の有無を、のこされた家族の方が一つ一つ調査しなければなりません。それは、お葬式や手続きなどであわただしく、まだ悲しみの中にいる時かもしれません…。

    遺言書と一緒に財産目録を作成し、どんな財産があるのかを明示しておくことで、財産の内容をスムーズに伝えられるようになります。

  • 相続トラブル

    財産の調査が終わると、のこされた相続人で遺産分割協議をすることになります。遺産が現金のみであればきれいに分けられますが、不動産や車、株式など、一概に○○円と価値を決めにくいものもあり、公平に分割することは意外と難しいものです。また、自分の取り分について強く主張する相続人がいた場合、遺産分割協議をきっかけに家族がギクシャクしてしまうことも…。

    遺言書があれば、遺言書で故人が定めた内容に従って遺産を分けることになります。「車は長男へ」など、特定のモノを指定することもできますし、お世話になった友人など、家族以外の人に財産を分けることも可能です。不公平感が生じてしまうときは、「いつも看病をしてくれたことへの感謝の気持ちとして」など、理由も遺言書に書いておくことで、相続人の方の納得感が生まれやすくなります。

遺言書の種類

遺言書の種類は大きく分けて2つあります。
・公正証書の遺言書
・手書きの遺言書

公正証書の遺言

「公正証書遺言」という方法は、公証役場で内容のチェックを受けることができ、信用力も高いため安心です。費用の面ではそれなりにかかりますが、財産の額が大きい方は、公正証書遺言が安心です。

公証役場におさめる手数料ですが、

例えば…配偶者に評価額3500万円相当の自宅、2人の子供にそれぞれ500万円ずつ預貯金をのこしたい場合、手数料は62,000円です。財産の額や、財産をのこす相手の人数によって、手数料は変動します。

手書きの遺言

最も手軽な方法が、手書きの遺言書です。「自筆証書遺言」といいます。

思い立ったときにいつでも書けて便利なことが最大のメリットですが、形式的な条件を満たさず法的に無効な遺言書になってしまったり(民法で決められた形式を守っていない遺言書は無効になることがあります)、紛失するおそれがあったり、自分の死後、遺言書を家族に見つけてもらえない可能性があることが少しデメリットです。

そこで、これらのデメリットをふまえ、手書きの遺言書を法務局で保管してくれるサービスが2020年から開始しましたので、こちらの利用を大変おすすめしております。

遺言書を法務局で保管してくれるサービス

このサービスは、ご自身の手書きの遺言書を、法務局で保管してもらうというものですが、法務局に収める手数料が3,900円と比較的お手頃で、形式面のチェックも受けることができるのが特徴です

また、ご自身が亡くなった後、法務局に遺言書を保管していることをご家族等に通知してもらうシステムもありますので、遺言書を家族に見つけてもらえない心配がありません。

さらに、亡くなった後、「遺言書情報証明書」という、住所氏名や遺言書の内容、遺言書の作成日や保管日などが記載された証明書も発行してもらえますので、亡くなった方ご本人が書いたものであることの信用性も保たれます。

(身内の方が自分に有利な遺言書を、なりすましで勝手に書いてしまう…という事件も、世の中にはあるかと思いますので…。)

自筆証書遺言書保管制度(法務局のページが開きます。)

公正証書も法務局の保管も、なんだか大変そう…と感じる方は、市販の遺言書作成キットを利用してみてはいかがでしょうか。作成方法の見本があるので書きやすいと思います。

遺言をつくる重要性が高いケースは?

次のケースに当てはまる方は、特に遺言を作成する重要性が高まります。

  • 未成年の子供がいる方
  • ご夫婦の間に子供がいない方
  • 子供連れで再婚された方
  • 事実婚(内縁の配偶者がいる)の方
  • 同性カップル(同性パートナーがいる)の方
その理由を解説いたします。

未成年の子供がいる方

「夫・妻・未成年の子が2人」の4人家族の場合で解説します。

例えば夫が亡くなって、遺言書がない場合は、妻2が分の1、子2人が4分の1ずつの割合で相続します。

もし夫名義の自宅がある場合、妻が2分の1、子2人が4分の1ずつの割合で、自宅が共有の名義になります。しかし、不動産も株式も、何でもかんでも自動的に共有名義となってしまっては、色々と不都合ですし、「現金は子供達に、自宅は妻の単独名義にしたい」など、ご家庭によって様々な要望があるかと思います。そこで、相続人全員で「遺産分割協議」を行って、共有状態を解消し、遺産を分け合うことができます。

しかし、ここで問題が生じることがあります。お子さんが未成年(18歳未満)の場合です。

15歳くらいであれば状況を理解できる年齢だと思いますが、未成年者は遺産分割協議をすることができません。それならば、母である妻が子供たちに代わって遺産分割協議をやってあげれば良いようにも思えますが、これもできません。

母と子は、ともに相続人として財産を分け合う立場のため、母が子の代わりに遺産分けをしてしまうと「母が自宅を取得した結果、子供達の取り分が本来の4分の1ずつより少なくなってしまった…」など、子供の利益を害する結果が起こる可能性もゼロではありません。

そこで、未成年者の権利を守るために、家庭裁判所に「特別代理人」を選任してもらった上で、妻と特別代理人で遺産分割協議をする必要があるのです。子供が2人なら特別代理人も2名必要です。家庭裁判所に選任してもらうための手間や費用もかかります。

遺言書があれば、この心配はありません。遺言書の内容に従って遺産分けをすることになるので、遺産分割協議自体、行う必要がありません。

ご夫婦の間に子供がいない方

子供がいないご夫婦の場合、のこされた配偶者は、義理の両親、義理の祖父母、または義理の兄弟姉妹と遺産分割協議をする形になります。遺産分割はお金に関係する話ですから、配偶者の亡き後、義理のご家族との関係性によっては、思うように自己主張がしづらいことも想定され、後悔が残る結果となってしまうことも…。

子供連れで再婚された方

前婚で子供がいて再婚された方が亡くなった場合、現在の配偶者と、前婚での子、そして再婚後に子供がいれば再婚後の子が、ともに相続人となって遺産分割協議を行います。ご関係性によりますが、円満に遺産分けをするのが難しいケースも多いです。

遺言書を作成しておけば、遺言書の内容に従って遺産分けをするので、遺産分割協議自体、する必要がありません。

事実婚(内縁)の方

内縁の夫、または内縁の妻に財産をのこしたい場合、遺言書は必須です。

遺言書がないと、亡くなった方の戸籍上の相続人の方が財産を取得することになるため、内縁の配偶者は財産を取得できません。ふたりで築いてきた財産でも、内縁の配偶者は遺産分割協議に参加する法律上の資格がないのです。必ず遺言書を作成しておいて頂きたいところです。

お互いの親族と内縁の配偶者との交流がない場合は、公証役場の公正証書遺言、または法務局の保管サービスを利用されると安心です。その理由は、遺言書の信用性を高めておくことで、親族の方との心情的な衝突を防ぐためです。

あるご家族の方が亡くなった後、内縁の配偶者に財産をのこす内容の遺言書が、自宅のタンスに保管されていたことを知った。その内縁の方とは、これまで一度も会ったことがない…。

タンスに保管されていた手書きの遺言書…法的には問題なくても、心情的な面で、親族の方がスムーズに受け入れてくれるかはわかりません。最悪の場合は「内縁の方が自分に有利なように誘導して書かせたのでは?」と疑念が生じたり、心情的な衝突が起こることもありえます。

その遺言書は「本人が・本心で」書いたものである、ということの信用性を意識することは意外と大切です。

公正証書遺言の信用性が高いのはもちろんですが、法務局の遺言書保管サービスの場合も、死後に「遺言書情報証明書」という証明書を発行してもらえますので、信用性は保たれます。

内縁の配偶者の方と親族との交流がない場合は、このような心情的な配慮や、信用性の確保の点についても、ぜひ考えておきましょう。

 

同性カップルの方

考え方はひとつ前の内縁の配偶者の場合と同じです。同性のパートナーの方に財産をのこしたい場合も、遺言書は必須となります。

遺言書がないと、亡くなった方の
戸籍上の相続人の方が財産を取得することになるため、同性のパートナーの方は財産を取得できません。人生をともに歩む大切な方のために、万が一に備えて遺言書を作成しておきましょう。

お互いの親族との交流がない場合は、内縁の配偶者のケースと同じく、公正証書遺言や法務局の保管サービスの利用をおすすめいたします。

遺言書を作成してみませんか?

多様性のいま、家族のかたちは様々です。上記のケースに当てはまらない方でも、遺言書を作成することをおすすめしております。ご夫婦・カップルの場合は、お互いにそれぞれ作成しておきましょう。

今までありがとう。」など、普段は言いづらい感謝の気持ちも、遺言書の文中に記載しておけば、自分の死後に思いを伝えることもできますよ。

このページが「遺言書って必要ですか?」の疑問のご参考になりましたら幸いです。

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